DNA欠損を作ってみた。

 

CRISPR/Cas9 法で DNA を切断しても、多くは「元通り」に修復されてしまいます。そこで、「2カ所を切る」というシステムを使ってみました。

 

 2カ所切ると、NHEJシステムで、切り口を繋いでしまうだろう、、、と考えたわけです。(Yasuda S et al. MPL overexpression induces a high level of mutant-CALR/MPL complex: a novel mechanism of ruxolitinib resistance in myeloproliferative neoplasms with CALR mutations. Int J Hematol. 2021 Oct;114(4):424-440)

 

前回、お話ししたCALR 遺伝子の第9エクソンに、前回に加えて、もう1カ所切ることにしました。前回のターゲットは3’の赤字の所で、今回のターゲットは5’の赤字の所です。

その結果、CALR(WT) の一部が抜けた欠損変異(del52, del45, del46) を作ることが出来ました。欠損変異は、切り口に少し異常が入って、三種類のタイプがありました。どれも、予想通り、狙った領域は欠損していました。欠損変異は一部のアミノ酸の欠損だけでなく、アミノ酸配列自体が大きく変わっていました(Frame-shift フレーム・シフト現象)。これもデザインした通りの結果でした。


蛋白の大きさも欠損型では小さくなっていることが確認されました。

 

CRISPR/Cas9 法でDNA を2カ所切ることで、DNAの狙った領域を切り取れることが出来ました。

 

2023年06月29日