2024年ノーベル医学・生理学賞 マイクロRNA
2024年のノーベル医学・生理学賞はマイクロRNA の発見者であるビクター・アンブロス博士とゲイリー・ラブカン博士に贈られた。
この二人の研究者は線虫とういう下等動物において、小さなRNA(マクロRNA)が臓器の形成をコントロールしていることを発見した。
小さなRNA の研究に関しては2006年にメルロー博士とファイアー博士が siRNA の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞しているので、ある意味、似たテーマに、再度ノーベル医学・生理学賞が贈られており、驚きである。
植物において、侵入して来たウイルスを破壊するために発達した小さなRNA は、免疫系を持たない植物において、外敵と戦う武器として進化した。
外界からの侵入者と戦う免疫系を持った動物においても、この小さなRNAは多くの種類が存在し、大量に発現している。メルロー博士とファイアー博士の研究により、この小さなマイクロRNA が植物と同様に、多くの遺伝子の発現をコントロールすることが証明された。
アンブロス博士とラブカン博士の研究により、ある種のマイクロRNAはヒトなどの哺乳類においても臓器の発生や形成において重要な働きをしていることが分かった。更には、癌細胞において、癌化を促進したり、あるいは癌化を抑える作用を持つマイクロRNAの存在なども見つかっている。
マイクロRNAは生物にとって欠くことの出来ない重要な分子であることが分かった。