良き医療者に なるために。

 

良き医療者になるために必要なことは

① 親切であること

② 正直であること

③ 熱心であること 

の3つです。

① 医療職は人の健康や命に関わる重要な仕事です。多くの職種とコミュニケーションを取り患者さんや御家族にとってベストの治療を提案し、それぞれの職種の人間が最高のパフォーマンスを出して、最高の結果を目指します。
 その中にあって、中心は患者さんであり、その御家族です。彼ら・彼女らに親切に接することが医療者としての基本であり、この姿勢に欠けた人は良い医療者になることは決してないでしょう。

② 日本は「患者のために」「患者を不安にさせてはいけないから」という理由で、長く「癌」という病名を患者さんに告知しない慣習があった国です。その時代には、患者さんに「嘘の病名」を伝え、「嘘を言うこと」は正しいこととされてきました。そのことが大きな医療不信を生み、日本の医療界に大きな損害を与えました。現代医療において、その「中心」は患者さんであり、その御家族です。医療者は彼らを助ける「脇役」です。現代医療にあっては、患者さん・その御家族と医療者との間の信頼こそ、より良い結果を生むための鍵であり、患者さんに正直に真実を伝えることが重要なことです。
 また、医療チームの各メンバーが信頼しあうためには、それぞれが正直であることが必要です。嘘をつく人の言葉は信じられませんし、嘘に従って医療行為を進めれば、決して最高の結果は得られません。正直でない人は良き医療者になれませんし、優れた医療チームのメンバーになってはいけません。

③ 医療というのは大変な仕事です。多くの治療法が確立された現代医療においては、その確立された治療法に従って多くの治療に当たることが標準となっています。その中にあって、各医療者の裁量権は小さく、膨大な数の手順を間違いなく行うことが求められます。しかし、それは結局「同じ作業の繰り返し」という、大変面白みに欠けた仕事のようにも感じます。それでいて、その手順を間違えれば、ともすると命に関わる重大事に繋がりかねない、気を抜けない仕事です。膨大な数のステップを間違いなく一つ一つ踏み、そして、そういった同じ作業を繰り返す中で、まったく気が抜けないという、何とも過酷な職場だとも言えます。単純作業の繰り返しの中で緊張感を保ち続けるためには、情熱を持っている必要があります。虚構である医療ドラマの中で目にする興奮と感動に満ち溢れた世界とは異なる現実の現代医療において、情熱がない人は良い医療者にはなれないです。

「正しい医療者」の育成のために

 介護士・看護師・医師が患者の命を奪い、保育士・介護士・看護師が患者に暴力を加え怪我を負わせている、などという医療現場で患者の命や健康が守られていないというニュースが連日報道されています。
 このような暴力的な医療者は、極めて稀な、特別な人達であり、そいういう医療者は全て逮捕され、もう他に、そういった残虐な医療者いないのでしょうか?
 それとも、これは「氷山の一角」であって、患者や、その家族を嘲笑したり・脅迫したり・威嚇したり・暴力を振るったりする医療者は、まだまだ沢山、医療現場に跋扈しているのでしょうか?

多くの国民は不安に思っています。

 医療の現場に、このような非倫理的な者を輩出していることは、現在の日本の医療者を教育するシステムに大きな欠陥があるのかもしれません。医療教育システムは、患者さんや、そのご家族が心から安心して身を任せられる医療現場を実現する「正しい医療者」を育てるシステムであるべきです。非倫理的な信念を持つ者の価値観を矯正し、それが無理な時には、医療者以外の道に進むことを勧めるべき場所であるべきです。

 我々は「正しい医療者」「患者様・ご家族の皆様から信頼される医療者」を育てて、安心して身を任せられる医療現場の実現に寄与していきたいと思って、日夜、医療者教育に取り組んでおります。