CRISPR/Cas9_3

 

実際に「狙う DNA 配列」をデザインしてみましょう。

ヒト Calreticulin (CALR) 遺伝子の第9エクソン(コーディング・エクソン)の切断を狙う配列を選んでみます。CALR 遺伝子のゲノム配列(エクソン配列とイントロン配列)はゲノム・ブラウザで検索してダウンロード出来ます。下にCALR遺伝子の第9エクソン内の切断する領域(黄色)とPAM配列 (NGG) (赤) を示します。(Yasuda S et al. MPL overexpression induces a high level of mutant-CALR/MPL complex: a novel mechanism of ruxolitinib resistance in myeloproliferative neoplasms with CALR mutations. Int J Hematol. 2021 Oct;114(4):424-440)


切断されるのは黄色の3’末端から3ヌクレオチド目と4ヌクレオチド目の間になります GGAGG//AGG。

この黄色の配列を含んだオリゴヌクレオチドを合成して、下の図ようにU6プロモーターとScaffold 配列をPCR法で増幅します(第1ラウンドPCR)

 

 次に、第1ラウンドで出来た2種のPCR産物を混ぜ合わせて、外側のプライマーだけでPCRを行います(第2ラウンドPCR)。これで得られるのが5’から U6プロモーター配列・ターゲット配列・Scaffold 配列からなるPCR産物です。これをベクターに挿入し、シークエンスを確認して、sgRNA発現ベクターの完成です。

2023年06月28日