【学内】NVIDIA シー博士 特別講演(終了しました)


2024年1月17日に東京工科大学・片柳研究棟(八王子キャンパス)においてシリコン・バレーの IT 企業 NVIDIA (エヌビディア)の主任研究員 シー博士による特別講演がありました。(「AI trends in Generative AI and Digital Twin, and HPC Technologies」Dr. Simon See)

 NVIDIA は台湾出身のジェイソン・ファン氏が創設したベンチャー企業で、わずか20年で世界的な IT 企業に成長しました(シー博士もシンガポール出身です)。
 NVIDIA は企業に製品を売る B to B カンパニーなので、一般の人には知らない人も多い企業ですが、スクリーン上に動画を含めた画像を高精度で表示するための高性能の Graphic Processing Unit (GPU) を開発し、世界中のコンピューターで採用されている巨大な IT 企業です。アメリカ・カリフォルニア州のシリコンバレーに埼玉スーパーアリーナのような巨大な本社ビルを2基保有し、成功した IT 企業がひしめくシリコンバレーの中でも、アップル社やグーグル社(アルファベット社)のように一際目を引く存在になっています。


 当日は AI 研究の最先端に関するお話を頂きました。気象学・映画などの映像エンターテイメント・作曲/絵画などの芸術・医療診断学・脳科学・機械製造業・建築学・コンピュータープログラミングなどなど、多くの分野で AI 技術が発展していることが紹介されました。

 質疑応答において「NVIDIA はプラット・フォーム(コンピューターの部品の一つ)製造会社なので、それに関わる研究だけに特化している。決して材料研究や、End-user-product (消費者が手にする完成品/ 一般消費者への商品を扱う B to C ビジネス)の研究は行わない」という会社のポリシーは、アップルなどの、プログラムからコンピューター・スマートフォンまで手掛ける他の IT 企業とは異なるもので、興味深く感じました。

 また「無限にあるテーマの中で、自社が手掛けるのに適したものを見つけるために、世界中の多くの大学と提携を結んでいる」という言葉も、大学の「自由にテーマを選べる自由度の高さ」と企業の「決められたテーマに基づいて突き進む」という異なる強みの連携の重要性を感じました。

「新しいアイデアが出たら、チームリーダーを中心に最大限の人材と資源を集中させ、そのアイデアが実現可能かどうかを短期間に検証し、もし、成果を出す見込みが低ければ、直ぐにプロジェクトを閉じ、チームを解散させる。見込みがあれば、更に大きくして、大きなプロジェクト・チーム編成をする」という答えには、「スピード」と「成果」を重んじるシリコン・バレーの IT 企業の優秀さを感じました。

 また「チームにおいては、リーダー以外のメンバーに上下関係は無く、対等な立場で仕事をしている」というアメリカならではの、一人一人の社員の能力を尊重した、公平な職場の体制は、見習うべきものと感じられました。

                   川又教授とシー博士

2024年01月18日