2023.5.8. 医療「胃癌とピロリ菌...」


今日の授業からーーー日本人の胃癌患者の99%はピロリ菌感染が認められる。

 故に、ピロリ菌感染が胃癌の引き金になっていると考えられている。症状が無くても胃レントゲン(胃バリウム検査)や胃カメラでピロリ菌感染が疑われたら、必ず詳しい検査をするべきである。ピロリ菌感染が認められたら、症状が無くとも除菌する必要がある。こうすることで胃癌の発症のリスクを下げることが出来る。(がん対策研究所「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」研究班からの発表)

 最近の日本からの発表によると、ピロリ菌感染だけでなく、患者が持つ遺伝子的な背景が胃癌の発症には大きく関わっていることが発見された。遺伝子修復に関する蛋白をコードする遺伝子に異常がある患者はピロリ菌感染により胃癌の発症リスクが極めた高くなる(16倍)とのことである。

Usui Y et al. Helicobacter pylori, Homologous-Recombination Genes, and Gastric Cancer. N Engl J Med. 2023 Mar 30;388(13):1181-1190.

(近い将来、個々のピロリ菌感染者の遺伝子解析が行われて、リスク別に、その後の経過観察のスケジュールが組めるようになって欲しい)

2023年05月08日