2023.7.3. 医療「飛行機内の急病人」


今日の授業からーーー飛行機の中の急病人の話はテレビ・ドラマでは良く目にする話ですが、、、では実際は、どの程度の頻度で起きるのでしょうか?

 以前の研究によると604便に1例の頻度だそうです。多くの人は、一生のうちに一回遭遇するか・しないか、という極めて稀な出来事です。

 48.1 %で乗り合わせていた医師が対応して下さったそうです。緊急着陸が必要だった例は7.3 %だったそうです。死亡例は 0.3% だったそうです。

Peterson DC et al. Outcomes of medical emergencies on commercial airline flights. N Engl J Med. 2013 May 30;368(22):2075-83.

 ニュージー・ランドなどの、いくつかの国では、医師を含めて医療者が飛行機内での急病人に対応することが法律で義務化されていますが、多くの国では法的な義務 legal obligation はありません。
 しかし、多くの先進国では医療者には倫理的な義務 ethical obligation(「医療者は良い行動をしなければならない」という医療者としての倫理規範)が課せられているので、診療に参加することが推奨されています。(アメリカでも日本でも飛行機内での急病人に対応した医療者が訴えられた例は無いそうです)

乗り合わせた医師が、どのように対応するべきかという内容もアメリカの医学雑誌には繰り返し掲載さています。

Nable JV et al. In-Flight Medical Emergencies during Commercial Travel. N Engl J Med. 2015 Sep 3;373(10):939-45.

Gendreau MA, DeJohn C. Responding to medical events during commercial airline flights. N Engl J Med. 2002 Apr 4;346(14):1067-73.

If someone could benefit from your experience , I think, you should provide it.  「あなたの経験が誰かの役に立つなら、役立てて下さい」と  
 アメリカでは教えています。

(NEJM Quick Take:The Epidemiology of In-Flight Medical Emergencies. 2013. https://www.youtube.com/watch?v=ZDSm8iZMT9k)

2023年07月03日