アメリカ大統領選挙


アメリカの大統領選挙は4年に1度行われる。夏季オリンピックが開催される年と同じ周期で4年に一度行われる。2024年は大統領選挙の年である。

 アメリカは共和党と民主党の2大政党制であり、それぞれの政党が大統領候補を、それぞれの党の中の選挙で選び、11月の政党の候補同士の選挙で決着する。

 大統領は8年まで務めることが出来るので、通常は、4年の任期を終えた現職の大統領は、そのまま次の選挙の候補に選出される。今回は、高齢であることを理由に現職の民主党・バイデン大統領が、次の大統領選挙に出馬することを辞退した。

 その結果、民主党はハリス候補という、アメリカで二人目の女性候補(最初の女性候補はクリントン氏)が立候補した。ハリス候補は、黒人として二人目の大統領候補(最初の黒人候補はオバマ元大統領)であり、同時に、アメリカ史上最初のアジア系(インド系)大統領候補でもある。

 対する民主党の候補は、トランプ元大統領である。彼は1期4年しか大統領を務めていないので、再度、立候補が可能である。

 民主党と共和党では、政策方針が水と油ほど違う。どちらの候補が大統領になるかで、アメリカの国の方向性が大きく変わる。

 民主党は弱者救済・富裕層への重い課税・大企業への重い課税を主体とする政策を取ることが多い。LGBTQへの理解も高く、女性の中絶の権利を擁護し、移民の受け入れにも寛容である。国民全ての健康を守る皆保険制度を確立した過去があり、「銃を持つ権利」には否定的である。進歩的な考えに基づく価値観であり、都市部の人々・多くの移民や知識人・ホワイトカラーの人々・芸能系の職業の人から支持されることが多い。アメリカ東海岸や西海岸など、移民が多く、有名な大学が多く、進歩的な人々が暮らす州で高い支持を得ている。

 一方、共和党はキリスト教の聖書に基づいた伝統的な価値観に重きを置く保守的な価値観が強い。富裕層を保護し・大企業を保護する政策を取り、財源を、国民全体から平等に徴収する消費税を主体とすることが多い。自己責任の名の下、各人が各人で解決することを求め、弱者への保護は薄くすることが多い。皆保険制度など、共産主義的な(競争原理の働かない)施策には否定的である。また、「銃を持つ権利」をアメリカ建国以来のアメリカ国民の権利として擁護する姿勢を示している。キリスト教徒や白人層・農業従事者などアメリカの中央部の農業州では高い支持を得ている。

 大統領選挙は、各州ごとに行われる。州の得票で過半数を得た候補が、各州の勝利者となる。51%対49%の得票で勝っても、99%対1%の得票で勝っても、その州での「勝利」としてしかカウントされず、州民の何%が支持したかは勘案されない。その結果、総得票数では優っているのに、総得票数で少ない方の候補が大統領に当選するという奇妙な現象が起きる。2000年の民主党ゴア候補・共和党ブッシュ候補の選挙で総得票数の少ないブッシュ候補が当選した。また、2016年の民主党クリントン候補・共和党トランプ候補の選挙では、総得票数の少なりトランプ候補が当選した。

 熱狂的にゴア候補やクリントン候補を応援する州があった反面、接戦州でブッシュ候補・トランプ候補が小差で勝つことが多かったことが、これらの奇妙な結果の原因である。

 これらの奇妙な結果に「アメリカの大統領選挙のシステムは民意を正しく反映していない」と抗議する人はいるが、アメリカは建国以来の大統領選挙のシステムを堅持し続けている。

2024年09月09日