2023年9月現在、高齢者が29%を占める日本においては、癌を発症する高齢者が多数います。
抗癌剤が大変有効な悪性リンパ腫においても、高齢で発症する人が多数おります。悪性リンパ腫は、不十分な量の抗癌剤を投与した場合に、治癒の可能性が低下することは広く知られた事実であり、高齢者であっても(80歳未満の場合)十分量の抗癌剤を投与することが勧められています。
しかし、高齢者は、しばしば心臓・肺・肝臓・腎臓などの重要臓器の機能が低下している場合があり、若い人のように、十分量の抗癌剤を投与することが、むしろ体調を悪化させてしまう危険性を孕んでいることがあります。
ですので、65歳を越えた高齢者の場合、各臓器の機能の状態によって、更に細かく分け、それに併せて抗癌剤の量を決定する必要があります。
この論文では65歳以上の人達を fit, unfit, frail の3グループに分けて、それぞれに異なる抗癌剤量を投与して治療することを提唱しています。fit のグループに対しては若年者と同様の通常量の抗癌剤治療が勧められ、その量による治療で、若年者と同等の高い治療成果が得られるとされています。
Lugtenburg PJ, Mutsaers PGNJ. How I treat older patients with DLBCL in the frontline setting. Blood. 2023 May 25;141(21):2566-2575.