海外の医療の現状・多職種チーム医療


日本には海外の医療の情報は、あまり入ってこない。言葉の壁があるので(ほとんどの記事は英語で書かれている)海外の医療の実情も、中々、一般の人が知ることが出来ない。

海外の先進国にとっても高齢化は大きな問題である。高齢の夫婦だけて暮らしている家庭は多いし、独居老人も多い。老々介護(高齢者が高齢者を介護する)や孤独死が社会問題となっているのは日本と同様である。

高齢者は、たくさんの臓器に障害(心臓病や肺疾患、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、うつ病、認知症などなど)を持っていることが多い。それ以外にも社会的な問題(老々介護で、介護を担う若い家族がいない)や経済的な問題(年金だけでは医療費や生活費を賄い切れない)など、多くの問題を抱えている人が、日本に比べて多い。

医療において「体の状態だけ」を治療するのは、患者や、その家族にとっては不十分であることが多い。そのため、「患者中心医療」は医学的な側面だけでなく、多方面に渡る支援 (Holistic Care ホリスティック・ケア)を目指す。この「多方面からの支援」を効率的に行うために、多職種医療チームが組まれ、身体的な問題だけでなく、家族の問題や経済的問題まで、それぞれの職種の能力を発揮して解決しようとする「患者中心医療」が欧米では主流になっている。

多職種チーム(Multidisciplinary team MDT) は主治医(ホーム・ドクター/かかりつけ医)・看護師・看護補助・理学療法士(リハビリテーション療法士)・栄養管理士・ソーシャルワーカーなどの多職種の専門職からなる。

対象のなるのは、多くの疾患を抱えている複合疾患患者、社会的な弱者である子供・シングルマザー・身体的な障害者・知的障害者・独居者・高齢者・精神疾患患者などが主体である。

それぞれの患者に対して、短時間の会議を開いて、どのような問題があり、どのように対処するかを、それぞれの専門の立場から意見を出し合い、方針を決める。それぞれが、それぞれの職務を遂行して、効率良く、患者や家族の身体的・心理的・社会的な状況を改善させる。

患者の「身体的な問題」だけを治す旧来型の医療は、複雑化した現代医療においては時代遅れになってしまっている。

日本にも、こんな血の通ったシステムが出来れば良いと思うが、欧米も、このようなシステムの確立には15年以上の長い時間と、それぞれの専門職の意識改革が必要だった。

日本は「失われた30年」の間にデジタル後進国になってしまい、欧米だけで無く、多くの国で進んでいたキャッシュレス化が大きく立ち遅れていた。が、東京オリンピックを契機に、追いつくことが出来た。

医療においても「失われた30年」を取り戻すことを期待したい。

多職種医療チーム/全ては患者のため/
What are multidisciplinary teams? (Integrated care)

MDTは社会的な弱者のために/
"It's been a real eye opener"- experiences of working in a multidisciplinary team

イギリスでのMDTミーティングの実際/
An Overview of Multi-Disciplinary Team Meetings

2024年05月27日