癌治療・日本の成績


癌治療成績の国際比較のため、71カ国が参加する国際グループ・CONCORD という組織が存在する。日本も、この組織に参加している。このグループでは2000年から2014年までの15年間の18種の癌の治療成績を2018年に公開している。

治療成績の国際比較をするためには各国が、自国の治療成績を把握しておく必要があるが、参加している71カ国中45カ国が国全体の治療成績を把握しているだけである。

不幸なことに、2000年-2014年の間には、日本は全国レベルでは癌治療成績を把握していない。16 の府県(全人口の4割)が治療成績を把握していたので、そのデータを「日本のデータ」として提出して、国際比較を行った。

各国のデータを年齢調整した後に比較を行っているので、高齢化など、各国の国民の年齢別の人口の影響は受けない。

日本は胃癌・食道癌・肝臓癌・肺癌・乳癌・子宮頸癌の治療成績が A ランクであった。

食道癌に関しては、日本・中国・韓国の三カ国のみが5年生存率30%を越えるAランクとされている。他国は全て30%以下である。胃癌に関しては日本と韓国、更にヨルダン・コスタリカなどが40%以上の良い成績を示して A ランクとされている。

肝臓癌に関して A ランクとされているのは日本のみであり、30%という高い生存率を示している。肺癌においても A ランクとされているのは、やはり日本のみであり、33%という高い生存率を示している。

乳癌に関してはコスタリカ・日本・韓国・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・ヨーロッパの多くの国々が85%以上の高い生存率を示し A ランクとされている。子宮頸癌に関しては日本・韓国・台湾・デンマーク・ノルウェー・スイスなど7カ国が A ランクとされている。

日本の大腸癌(結腸癌・直腸癌)・卵巣癌・前立腺癌の治療成績はBランクであり、小児の脳腫瘍や小児のリンパ性白血病の治療成績もBランクである。

結腸癌でA ランクなのはイスラエル・韓国・ヨルダン・オーストラリア;直腸癌で A ランクなのはヨルダン・韓国・オーストラリアであった。
卵巣癌で A ランクはコスタリカ;前立腺癌で A ランクはプエルトリコ、マルティニーク、アメリカだった。
小児の脳腫瘍で A ランクはデンマーク・スロバキア・スウェーデン;小児白血病で A ランクはプエルトリコ・カナダ・アメリカ・カタール・オーストラリア・ニュージーランド・他ヨーロッパの9カ国であった。

日本においては、皮膚癌の一つである悪性黒色腫・血液癌の一つである骨髄性疾患(白血病など)の治療成績はDランクであった。同じく血液癌の一つである成人リンパ系腫瘍の成績もCランクと振るわなかった。

次回は2025年に発表が予定されている。

Global surveillance of trends in cancer survival 2000-14 (CONCORD-3): analysis of individual records for 37 513 025 patients diagnosed with one of 18 cancers from 322 population-based registries in 71 countries. Lancet. 2018; 391 (10125): 1023-1075.

 

2024年02月19日