物理化学演習 第3回
予習編
物理化学演習・第3回では、化学反応のエンタルピー変化とエントロピーの定義について演習を行います。
学生実験でも行うような一般的な化学反応の反応条件を考慮すると、「定温定圧条件下で系に流入する熱量=系のエンタルピー変化」を見積もることは重要です。今回は、様々な物質の熱力学量から任意の反応のエンタルピー変化やその温度依存性を議論できるようになることを目指します。また、エントロピーの定義と熱力学第2法則を確認し、その変化量を定義にしたがって正確に計算する演習を行います。
今回の熱力学第2法則が登場し、熱力学を化学の様々な事象・系に応用するための基本事項がそろいます。これまでの内容を身につけ、化学熱力学を使えるように学習を進めましょう。
今回の要点
- 化学反応のエンタルピー変化とその温度依存性を計算できるようになる。
- エントロピーの定義と熱力学第2法則を理解する。
物理化学演習 第3回
復習編
第3回では理想気体の断熱変化、反応エンタルピーとその温度依存性、そして、熱力学第2法則とエントロピーについて学びました。特に、大学で扱う反応エンタルピーと高校で扱った熱化学方程式との違いを比較し、種々な反応熱の定義とそれを利用した様々な化学反応のエンタルピー変化の計算を演習しました。さらに、エンタルピーの温度依存性を考慮して、標準反応エンタルピーと定圧モル比熱から、任意の温度における反応エンタルピーを導出する方法を確認しました。加えて、熱力学第2法則から自発変化の方向を知るための熱力学変数であるエントロピーの熱力学的定義と統計力学的定義を学びました。
今後は物理変化や化学変化に関するエネルギーの収支(熱力学第法則)という視点から、それらの変化の方向性と進行の度合いに注目していきます。熱力学の知見を化学に応用する大事な項目がたくさんでてきますので、第4回以降の内容もしっかり身につけていきましょう。
復習ポイント
- 理想気体の断熱変化の特徴を理解する。
- 様々な反応のエンタルピー変化を計算できるようになる。
- 任意の温度における反応エンタルピーを計算できるようになる。
- エントロピー変化に注目して、熱力学第2法則によって自発変化の方向を判断できるようになる。