無機化学 第6回
予習編
無機化学・第6回では、有効核電荷を使って原子を理解する最後の項目、イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度、そして化学結合(分子)の考え方について学びます。
前回の軌道半径の見積もりと同じように、有効核電荷から電子がどれくらい原子核に引きつけられているか、つまり電子が感じる居心地の良さ(=エネルギー)を見積もることができます。このエネルギーと密接に関係しているパラメータがイオン化エネルギー、電子親和力、そして電気陰性度です。これらの値は、分子の構造と性質を定性的・定量的に議論する際に非常に重要になるものですので、それらの値と有効核電荷の関係を理解してください。また、これまで原子の構造・性質をじっくり学んできましたが、分子を扱うための下準備として、古典的な化学結合論(ルイス構造)について学びます。
今回の要点
- 有効核電荷とイオン化エネルギー、電子親和力の関係を理解する。
- 電気陰性度の意味を理解する。
- 分子を理解する方法の一つとしてルイス構造を理解する。
無機化学 第6回
復習編
今回は、有効核電荷からイオン化エネルギー、電子親和力や電気陰性度を見積もる方法を学びました。電子の感じる有効核電荷と電子の入っている電子殻を考慮することで、原子がどれだけ電子を引きつけ、電子を受け入れようとするかを、概算ではありますが定量的に扱えるようになりました。
第4回から第6回までの3回で、有効核電荷を考えることで、原子の構造や性質を統一的に理解できることが実感してもらえたと思います。これまでの数回指摘してきた通り、原子の構造や性質を理解することで、分子の構造・性質を理解できるようになります。これまで原子の理解に多くの時間を割いてきましたが、原子についてもう一度最初から復習しておいてください。
今回はさらに、ルイス構造を描くのに必要な最低限の知識を復習しました。次回、ルイス構造を描き、分子の形を予想する方法を学びます。
復習ポイント
- イオン化エネルギーや電子親和力はおおよそ、有効核電荷の二乗に比例し、有効主量子数の二乗に反比例する。
- 電気陰性度はイオン化エネルギーと電子親和力の和として見積もることができる。