Communication Analysis Project

言語コミュニケーションの分析

下の左に位置する図は、3人で会話した様子の分析画面を表しており、会話の内容や音声の情報から話者交替のタイミングについて分析している。また、右の図は、動詞「歩く」について人間が連想した語(連想語)の一部の関係を表している。ここでは、語の連想し易さを数値で表しており、小さい値ほど連想し易いことを示している。このような動詞と連想語の関係をデータベース化し、自然言語処理システムに応用することで、コンピュータの言語理解精度を人間に近づけることを図っている。このように、人間の会話や言語使用だけでなく、コンピュータの言語処理も含めた言語コミュニケーションについて、学術的アプローチに基づいた解明ならびにコンピュータにおける言語処理機能の高精度化を目指す。

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3人会話の分析画面
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動詞「歩く」と連想語の関係

マルチモーダルインタラクションの分析

下の図は、複数人が集まって談話する際の人々の配置形状をまとめたF陣形(Kendon,A., 1976)と、野沢温泉道祖神祭における準備の様子をそれぞれ表している。O配置のようにF陣形で説明できる配置が確認できた一方で、L配置のようにF陣形では説明できない配置もあった。このL配置は、目上の人に対して目下の人が立っている時に見られることから、「目下の人が立つべき一般的な位置」をL配置の分析によって明らかにした。このように、ここでは人の立ち位置をはじめ、音声、視線、ジェスチャーなどのマルチモーダルなコミュニケーションを分析し、これまで学術的に一般化されてきていない暗黙的ルールの解明を目指す。

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操作領域とF陣形
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O配置
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操作領域とF陣形
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L配置

エンターテイメントコミュニケーション技術の分析

下の図は、お笑いコンビのサンドウィッチマンが東京工科大学にて漫才とコントを披露した様子を表している。ここでは、同じネタを話す際に「観客がいない時」と「観客がいる時」ではどのような違いが生じるか、或いは漫才とコントはどのように異なるか、などについて分析している。その他にもお笑い番組を対象としたテロップの内容とタイミングや、カメラワークの構成などについて分析するなど、エンターテイメントコミュニケーション技術を学術的な視点から読み解くことを目指す。

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観客がいない時の様子
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観客がいる時の様子

対外発表

  1. 荒畑翼, 寺岡丈博, 榎本美香, "オープンコミュニケーションとしてのラジオトークに見られる重複発話現象の解析", 情報処理学会第79回全国大会講演論文集(4), pp.1009-1010, 2017.
  2. 金子慶也, 寺岡丈博, 榎本美香, "ある品詞として具現化された心的表象に対応するジェスチャーの時間的構造の分析", 社会言語科学会第37回研究大会発表論文集, pp.146-149, 2016. <研究大会発表賞受賞>
  3. 清藤弥生, 寺岡丈博, 榎本美香, "重複の少ない話者交替を実現するラジオトークの言語使用に関する分析", 社会言語科学会第37回研究大会発表論文集, pp.142-145, 2016.
  4. 清藤弥生, 寺岡丈博, 榎本美香, "ラジオトーク固有の言語・非言語情報を用いた話者交替テクニックの発見", 電子情報通信学会2016年総合大会講演論文集(基礎・境界), p.258, 2016.
  5. 袰岩明仁, 寺岡丈博, 榎本美香, "自己防衛する人狼に特異的な身体動作の分析", 情報処理学会第78回全国大会講演論文集(4), pp.735-736, 2016.
  6. 大高直哉, 寺岡丈博, 榎本美香, "人狼ゲームにおける役割固有の視線に関する分析", 情報処理学会第78回全国大会講演論文集(4), pp.733-734, 2016. <学生奨励賞受賞>
  7. 白土峻平, 寺岡丈博, 榎本美香, "物理的環境に埋め込まれた多人数インタラクションとしての指揮に伴う言語行為分析", 人工知能学会第73回言語・音声理解と対話処理研究会資料(SIG-SLUD-B403), pp.47-52, 2015.
  8. 土肥健太, 寺岡丈博, 榎本美香, "仮想的演技空間の創出方略の分析~同一ネタの漫才とコントの違いを通じて~", 人工知能学会第73回言語・音声理解と対話処理研究会資料(SIG-SLUD-B403), pp.41-46, 2015.