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以下の内容については,大学のHP(大学の学びはこんなにおもしろい)でも掲載されております.
こちらもご覧下さい.

次世代バイオテクノロジーのツールとなる人工DNA切断酵素の開発

近年、Zinc Finger Nucleases(ZFNs)やTranscription Activator-Like Effector Nucleases (TALENs)、CRISPR/Casシステムなどゲノム編集のためのツールに関する研究が数多く報告されています。これらのツールでは、細胞内でゲノムDNAの特定の位置を切断し、細胞が持つ修復の機能を利用して目的のゲノム編集を実現しています。当研究室では、これらのツールとは異なり、合成物で構成される人工酵素(化学ツール)を用いて、ゲノムDNAの特定の位置で切断することに挑戦しています。 また、化学ツールと天然酵素を上手く組み合わせて、新たなバイオツールを開発することも試みています。
応用化学科のブログにこの内容の一部を書きましたのでご覧下さい。

ナノスケールの生体分子を認識する人工レセプターの開発

水溶液系で様々な物質を認識して結合する人工レセプターは、分離剤やセンサーへの応用することが可能です。しかし、生理活性ペプチドなどの大きな分子に対して、厳密な分子設計基づいてレセプターを合成することは非常に困難です。また、水溶液中では水素結合の活用が難しく、人工レセプターの設計はさらに困難になってきます。当研究室では、水溶液中で分子認識能を持つシクロデキストリンを機能性のモノマーとして利用し、分子鋳型法によりアンギオテンシンなどの生理活性ペプチドを認識するような高分子レセプターの開発を行っています。

チロシンリン酸化をリアルタイム検出する金属錯体の開発

細胞内の情報伝達の手段のひとつとして、タンパク質のリン酸化が知られています。リン酸化される主なアミノ酸残基には、セリン、トレオニン、チロシンなどがあります。この中で、チロシンのリン酸の割合は0.1%以下と非常に少ないにもかかわらず、多くの重要な役割を担っていることが報告されています。また、これらのリン酸の異常が、ガンの原因となることも多く、リン酸化を担う酵素群の阻害剤の中には抗がん剤として利用されているものもあります。本研究室では、セリンやトレオニンのリン酸化には応答せず、チロシンのリン酸化にのみ応答するような希土類錯体を開発しています。
応用化学科のブログにこの内容の一部を書きましたのでご覧下さい。

今後、生体の巧みな機構を参考にして、環境問題やエネルギー問題に貢献できるような化学ツールの開発を行っていく予定です。