サンプル サンプル サンプル サンプル

サンプル サンプル サンプル サンプル

無機化学 第1回


予習編


 本講義では、有機化学や物理化学と並んで、基礎化学の一分野に分類される「無機化学」を学習します。

 高校で無機化学を学習すると、「無機化学では、周期表上の原子からなる様々な分子、イオン、金属等の反応・性質を覚えればいいのか?」と思う学生も多いと思います。確かに大学教員が高校の無機化学の内容を見ても、これは暗記科目だな、と思わざるを得ないところはあります。

 しかし、大学で学ぶ無機化学は、個々の物質の反応・性質というよりも、それを体系的に理解するための規則性や法則を学ぶと言えると思います(もちろん頭の中に記憶しておかなければならない項目もあるのは事実ですが、、、)。一例を挙げると、高校では「Cu(II)イオンの水溶液にアンモニアを加えると、より深い青色溶液になる」ということを暗記しますが、大学では「Cu(II)イオンの水溶液にアンモニアを加えて、色が変化するのはなぜか?」ということを考察・説明できることの方に主眼があります。このように、ある化学種にある試薬や刺激を与えた時に、どのような反応が起きどんな性質の変化が起きうるのか?を説明・予想できるようになることは、新しい物質・材料を設計・合成するために必要になります。

 無機化学も有機化学と同じように、新しい機能・性質・構造を持つ化合物を作り出すという一つの目的が共通しているため、その設計・合成に必要となる知識は、有機化学と共通する部分があります。また、その知識を理論的・系統的にサポートする道具として物理化学の手法・考え方を使います。このように大学の無機化学は平行して学ぶ有機化学や物理化学と密接に関係しており、この三者を学ぶことがより専門的な化学を学ぶための基礎になります。

 「無機化学」の第1回では、大学で無機化学を学ぶのに必要な基本的な化学・物理の知識を復習します。また、それを基に原子の構成とそれを理解するために必要な量子論の概説を行います。

今回の要点

  • 大学で学ぶ無機化学の内容を俯瞰する。
  • 高校までの原子の描象を、量子論によって更新する。

 

無機化学 第1回


復習編


 無機化学・第1回では、高校化学・物理の基本事項の確認と、無機化学の位置付けと扱う内容について概説しました。

 1年後期から始まる3つの専門科目「有機化学」「物理化学」と「無機化学」で扱う内容の違いを述べ、無機化学の位置付けと関係性を確認しました。また、大学の無機化学で扱う内容が、高校のそれとは大きく異なることをお話ししました。講義でも述べた通り、高校で学んだ物理や化学の知識のなかでも、確認問題で問われた程度の知識(感覚)があれば、大学化学の内容はある程度まで理解することができます。高校で物理や化学が苦手だった人も、はじめから学びなおすつもりで受講してください。

 加えて、高校物理や高校化学で学んだ原子構造の捉え方を、大きく更新しなければならないことを話しました。次回以降にこの新しい捉え方を武器に、原子の構造から分子の性質まで系統的に理解できるように学習を進めていきましょう。

復習ポイント

  • 無機化学は周期表の化学。
  • 高校化学・物理の原子の描像はいい線いっているが、完全ではない。

(2) 無機化学