浦瀬研究室

下水処理水の臭気に関する外部発表内容のご紹介

● 浦瀬太郎(2017): 下水処理水のにおいの特徴とその生成原因,水環境学会誌,40(A), (2), 54-57.

● 浦瀬太郎,小野歳造,仲真美(2014): 活性汚泥処理における塩素系カビ臭の生成,環境工学研究フォーラム講演集, 51, 89-91.(山梨2014年12月21日)

【要旨】排水の生物処理によるカビ臭物質Geosmin, 2,4,6-TCAの生成について以下のことがわかった。
1) 東京近郊の大規模な処理施設のすべての放流水から採水場所平均で12〜44 ng/LのGeosmin,6.9〜24 ng/Lの2,4,6-TCAを検出した。しかし,大学の生活系排水を処理する活性汚泥処理施設の処理水からは,塩素消毒前も塩素消毒後もこれらの物質の検出濃度は低く,これらのカビ臭物質は,生物処理を行えば必ず生じるものではないことがわかった。
2) 放流水中の2,4,6-TCA濃度の高い処理場の流入水にも2,4,6-TCAは微量しか含まれておらず,また,活性汚泥上澄には,処理水と同じレベルで含まれていることから,処理水の塩素消毒前の生物反応タンクにおいて2,4,6-TCAが生成していると考えられた。
3) 活性汚泥を嫌気条件に暴露すると最大200 ng/LのGeosminが生成した。

● T. Urase and Y. Sasaki (2013): Occurrence of earthy and musty odor compounds (geosmin, 2-methylisoborneol and 2,4,6-trichloroanisole) in biologically treated wastewater, Water Science and Technology, 68, 9.

[Abstract]は こちら

● 佐々木 洋,工藤大輔,加賀愛望,神野琢可,浦瀬太郎(2012): 下水処理水の臭気の強度および特徴の嗅覚測定法による把握,下水道協会誌,49, 599(2012/9), 115-122.

【要旨】下水処理水臭や環境水の臭気を,45℃三点比較式フラスコ法を用いて調査し,下水処理水を貯留した場合の臭気の変化についても調べた。多摩川中流(立川-八王子近辺)の自然河川の臭気強度(TON)は46以下で,ほとんどのサンプルで13以下であった一方,下水処理水では39〜713(中央値156)であった。また,環境維持再生水では通常の処理水に比較して臭気が低減されていた。下水処理水を貯留しておくと,初期には,揮散によって臭気が減少するが,空気下で撹拌を行い嫌気化を防いだ場合であっても,pHが中性の条件では,臭気の増加が見られた。訓練しない学生による選択式アンケートによると,下水処理水のにおいは,川の魚のにおい,土のにおい,カビくさいにおいに似ているとの回答が多かった。

● 浦瀬太郎,金巻賢二郎,野口智史 (2008): 下水処理水を受水する河川での臭気強度およびアルデヒド類の濃度, 水環境学会誌, 31, 12, 769-774.

【要旨】多摩川流域の下水処理場の下水処理水および河川水,さらに,下水処理水による清流復活事業の行われている呑川を対象に,水の臭気強度を測定し,河川の下水処理水臭の挙動を調査した。また,アルデヒド類の濃度の調査を同時に行い,アルデヒド濃度と下水処理水臭との関連を調べた。45℃三点比較式フラスコ法で測定した臭気強度は,下水処理水では処理場による明確な差はなく83〜373,下水処理水のほとんど入らない河川水で6以下,下水処理水を受水する多摩川中流部で17〜90,清流復活事業の行われている呑川で70〜150であった。アセトアルデヒド濃度は,下水処理水で1.9〜5.6μg/Lで,多摩川中流部で0.68〜2.2μg/Lであり,感潮区間では,濃度がさらに増加した。下水処理水や多摩川中流部河川水に含まれるアセトアルデヒド濃度は,臭気閾値以上ではあるが,臭気強度とアセトアルデヒド濃度の間に相関はなかった。また,ホルムアルデヒド濃度は,臭気閾値以下であった。ビーカー・スターラー系で気液間の移動係数を求めたところ,酸素の空気中から水中への溶け込みの気液間の移動係数に比較して,下水処理水臭の水中から空気中への揮発の気液間の移動係数は1/27程度であった。溶存酸素の回復に十分な気液の混合が確保される河川区間であっても,臭気の液相から気相への追い出しは,十分には生じないことが予想される。