浦瀬研究室

エストラジオール類および医薬品の除去に関する外部発表内容のご紹介

浦瀬太郎,筒井裕文,稲生武士,陳浩楊 (2017) 抗菌医薬品の流入が二段式膜分離活性汚泥法における処理機能へ与える影響, 水環境学会誌, Vol.40, No.3, pp.107-114.

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寺田 翔,三宅英美,浦瀬太郎(2012): 異なる水環境から単離した大腸菌の抗生物質耐性プロファイル,水環境学会誌, 35, 5, 73-80.

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畝崎正力,浦瀬太郎 (2010): 河川環境中の医薬品の分解速度に影響を及ぼす因子,環境工学研究論文集, 47, 413-421.

 【要旨】環境排出後の医薬品の分解挙動を検討するために3 つの異なる河川水を用いて,初期濃度,アンモニアの添加の有無,活性汚泥の植種の有無などの条件を変化させて,10種類の医薬品の分解試験を行った.ケトプロフェン,ナプロキセンは10μg/Lの初期条件では,より低濃度の条件よりも医薬品残存率の低下が速くなり,分解菌による分解にはある程度の濃度が必要と考えられた.イブプロフェンは,汚濁の比較的進んだ河川水や清浄な河川水に活性汚泥を添加した河川水では分解が進んだが,清浄な河川水中では,28日程度の時間ではほとんど分解されなかった.クロフィブリック酸,ジクロフェナク,カルバマゼピンなどは,アンモニアの添加により硝化による共代謝を促進しても分解が進まなかった.

Ngoc Han Tran, Taro Urase, Osamu Kusakabe (2010): Biodegradation characteristics of selected pharmaceutical substances by whole fungal culture Trametes versicolor and its laccase, Journal of Water and Environment Technology, 8, 2, 125-140.

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Ngoc Han Tran, Taro Urase, Osamu Kusakabe (2009): The characteristics of enriched nitrifier culture in the degradation of selected pharmaceutically active compounds, J. of Hazardous Materials, 171, 1051-1057.

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T. Urase, K. Sato (2007): The effect of deterioration of nanofiltration membrane on retention of pharmaceuticals, Desalination, 202, 385-391.

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浦瀬太郎,呉 熙卿,香川千絵, 島崎 大, 国包章一 (2007): 活性炭による医薬品類の吸着特性, 用水と廃水, 49, 4, 323-329.

 【要旨】水環境中の医薬品類に対する関心が高まっているが,既存の急速ろ過による浄水処理では,これらの化合物は除去率が低い。これらの物質のより高度な除去を目指して,本研究では,粒状活性炭反応器を用いて,医薬品の吸着除去特性を調べた。pH中性付近でイオン化している酸性医薬品では,pHが酸性の条件で除去率が大きくなった。pHの除去率への影響の程度は,イオン性の農薬に対して得られている などを含んだ従来の経験式と同程度であった。連続実験では,活性炭吸着塔の逆洗浄をすると,活性炭の位置関係が変わり,また,生物膜の一部が剥離するなどして,新しい表面が吸着に寄与することにより,除去率が上昇した。通水速度に除去率が影響を受けたことから,活性炭の吸着平衡だけではなく,吸着速度あるいは拡散が除去率に影響を与えていることがわかった。浄水場で2年半,実際に使用されたバックグラウンド有機物が十分に吸着した粒状活性炭を用いても,多くの医薬品に対して,通水速度100 m/d, 活性炭層厚1,000 mmの条件で,80%以上の除去効果が得られることがわかった。よって,浄水の高度処理施設としての活性炭処理は,医薬品に対しても一定の効果を持っていると考えられた。物質ごとの除去特性では,プロピフェナゾン,クロフィブリック酸,イブプロフェンなどは吸着性が低く,一方,カルバマゼピン,ナプロキセンなどは吸着性が高かった。

H.K. Oh, C. Kagawa, T. Urase, I. Kasuga, D. Simazaki and S. Kunikane (2006): Removal of pharmaceuticals through continuous operation of column filled with fresh and aged granular activated carbon, the 7th international symposium on water supply technology, Yokohama, Japan, Nov. 22-24, 2006.

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香川千絵, 菊田友弥, 浦瀬太郎 (2005): 医薬品の除去に対する膜分離活性汚泥法分離膜の付加効果, 水環境学会誌, 28, 3, 207-210.

 【要旨】膜分離活性汚泥法のリアクターを医薬品clofibric acid, gemfibrozil, ibuprofen, fenoprofen, ketoprofen, naproxen, diclofenac, indomethacin, propyphenazone, carbamazepineを含む人工下水で連続運転し,リアクター混合液内の溶存態医薬品濃度と膜透過水医薬品濃度とを比較し,精密ろ過膜の付加のみによる除去効果が現れるのかどうかを検討した。その結果,運転日数の経過とともに,膜の付加による除去効果が発現した。この効果は,膜面の汚泥付着堆積層における阻止,吸着,反応によるものと考えられた。log Kowの大きい疎水性の溶質に対してほど膜付加による除去効果が大きくなる傾向が見られ,log Kowが5程度の物質では,膜の効果が44日間の連続運転後では60%を超えるものもあった。しかし,log Kowが3.2以下の物質に対しては,膜の効果が44日の運転後であっても25%以下であった。

T. Urase and T. Kikuta (2005): Separate estimation of adsorption and degradation of pharmaceutical substances and estrogens in the activated sludge process, Water Research, 39, 1289-1300.

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T. Urase, C. Kagawa, T. Kikuta(2005): Factors affecting removal of pharmaceutical substances and estrogens in membrane separation bioreactors, Desalination, 178, 107-113.

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浦瀬太郎, 佐藤孝太(2005): ナノろ過膜による医薬品の阻止特性, 水環境学会誌, 28, 11, 657-662.

 【要旨】下水処理水の地下水注入用途を念頭においた高度処理をターゲットとして,10種類の医薬品のナノろ過膜・逆浸透膜による阻止特性を研究開発段階を含む5種類の膜について調べた。ルースな膜では,カルボキシル基を分子内に持つ医薬品の阻止率は,pHによって大きく影響を受けた。pHが低い場合には,医薬品は中性溶質となることから,阻止率が低く,pHが中性からアルカリ性では,これらの医薬品がイオンになることから,阻止率が高くなった。イオンに解離しない医薬品では,阻止率のpH依存性はなかった。pHの低い荷電効果の効きにくい状態での阻止率は,サイズ依存性が大きく,分子量の大きい医薬品ほど,阻止率も高くなった。対象医薬品の多くがイオンに解離するpH中性条件や高阻止率の逆浸透膜においては,分子の大きさと阻止率の間には関係がなく,阻止率が高い水準で溶質によらず一定となった。タイトな逆浸透膜については,医薬品の種類によらず阻止率が一定値になる原因として異常細孔によるリークが考えられる。

浦瀬太郎, 田中俊至(2005): 異なる活性汚泥による女性ホルモン類・医薬品等の除去特性, 環境工学論文集, 42, 347-356.

 【要旨】5種類の活性汚泥および2種類の実験室で培養した汚泥に対して,女性ホルモン類,医薬品類等を添加し,除去プロセスを吸着と分解にわけて考察できる線形吸着1次反応モデルを提案した。汚泥を対象化合物を含まない基質によって実験室培養すると,吸着速度定数は小さくなり,水相-活性汚泥相分配係数は増大した。また,培養によって,医薬品の分解速度定数は小さくなった。IbuprofenやFenoprofenは比較的分解されやすい医薬品であったが,Clofibric acid, Propyphenazone, Carbamazepineは,どの汚泥を用いても濃度の低減がほとんど見られなかった。Diclofenac, Indomethacinも比較的難分解性で,従来より難分解とされる17α-ethynylestradiol (EE2)より,ほとんどのケースで,さらに難分解性であった。Gemfibrozil, Ketoprofen, Naproxenについては,これらの物質を分解し易い汚泥と分解しにくい汚泥とがあった。廃棄物処分場の汚泥では,他の汚泥ではほとんど分解しないClofibric acid, Propyphenazone, Carbamazepineも,遅い速度ではあるが分解した。廃棄物処分場の浸出水処理汚泥でのBisphenol A,し尿処理場汚泥での17β-estradiol (E2),Estrone (E1),17α-ethynylestradiol (EE2)などは,高速で分解しており,馴致効果と考えられた。

浦瀬太郎,香川千絵 (2004): 活性汚泥中での医薬品・女性ホルモン様物質の除去に影響を及ぼす因子, 用水と廃水, 46, 11, 955-961.

 【要旨】下水処理水には,様々な微量化学物質が処理後においても依然として含まれ,放流水域で,生態系に影響を与えている可能性が指摘されている。今後,下水処理水を地下水涵養に用い,一方で,地下水資源を有効に利用するシステムを考えると,医薬品のように難分解性で,かつ,地下水中で移動しやすい物質が問題となる。比較的親水性を持つ有機化合物である医薬品およびエストラジオール類に着目して,活性汚泥による分解除去実験を行い,除去に影響を与える因子を探索した。物質ごとの除去率では,17βエストラジオール(E2)は比較的除去率が高かった。一方,医薬品では,エストロゲン類の中では難分解性であるとされる17αエチニルエストラジオール(EE2)よりも除去率がさらに低いものが多かった。医薬品の低い除去率を向上させる方法として,高脂血症治療薬,消炎鎮痛剤などの酸性医薬品に対しては,pHを酸性側で活性汚泥を運転する方法が有効であることを見出した。これらの物質は,pHが中性域では親水性が強く,水相から汚泥相への移行が進まず,汚泥自体には分解能力があるにもかかわらず,水相から除去されないが,pHを酸性にすることにより,医薬品のイオン解離を抑制し,水相から汚泥相へこれらの物質を移行させることができた。また,低pH時の反応槽内にこれらの物質が蓄積していないことから,汚泥へ吸着した医薬品は,分解反応を受けたと考えられる。

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